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小ネタ書き散らし用。


by SSS-in-Black

【100-19】探求

そこに、ある疑惑があった。


(あの色の瞳は、間違いないな…)


扉一枚隔てれば、そこにあるのは宴会場。

とはいえども、粗末な酒と肴しかない、暖もない。

冷たい石畳が剥き出しになった、そんな場所。

それでも面々は騒ぎを続ける、今日と明日の無事を祈りつつ。


(しかし何故、あんな場所に?)


騒ぎの主役の筈である男、レオン。

レジスタンスの首領である彼は、武術だけではなく、策謀もまた得意であった。

今日の襲撃も、元はといえば裏切り者の排除のため。


神国の中枢部、人形に使える唯一の人間達である、『十二使徒』。

そのうち『獅子』は、何を隠そう、レオンの事である。

あちらでの名前はガリレオ、『峡谷の獅子』。

問題の裏切り者が通じていたのは、『双魚』のディーバという女。

『魔性の歌姫』…男を魅了し、布の代わりに思いで繋ぎ止め、即ち手駒として使い棄てる。

金に目がくらんだのか、魅せられたのか、わからないが──秘密を漏らされたら、困る。

そうこうするうち、裏切り行為だけではなく、レジスタンスの存亡に関わる取引を、情報の売買を、していたとなれば。

拠点となった店ごと、壊さなければ、ならない。


(あの子供は、『星薙の一族』の者)


まるで硝子を埋め込んだかのような、白に近い灰色の瞳。

まさに、水銀を塗る前の鏡の有り様。


(男だとは言えども、流石にあのような場所へ売り払うなど、あのような失われつつある血筋が…)


何故だ。

減りつつある子孫を、更に減らすような真似をするなんて。


(これは、調べる必要がある…あの子供から、聞き出さねばならない)


『星薙の一族』は、それほどの、切札となりうるのだから。





+ + + + +


【十二使徒】…黄道十二宮の称号を各々が冠する、神に使える人間達の集団。特定の刺青を体のどこかにいれている。

【『獅子』のガリレオ】…レオンと、その偽名。情報収集のために所属している。

【『双魚』のディーバ】…妖艶な美女。他者を魅了する魔術を歌に乗せて戦い、操る。


捏造歴史。
by SSS-in-Black | 2006-12-27 22:03 | 【100 title】