小ネタ書き散らし用。


by SSS-in-Black

【100-28】英雄

そこに、古びた扉があった。

その前に、小柄な男が立っている。

見るからに痩せているが、眼はぎらぎらと輝いて、異様な雰囲気をかもしだしていた。

彼はゆっくりと扉を開ける。まるでひとつ間違えれば壊れてしまうかのように、開ける。

その先に広がっていたのは、無惨にも荒らされた、否、中にいた全てが駆除されたかのような、空間。

人がいたようで、しかし何もいない。床に転がるのは、粗末な椅子や卓の残骸。


「何があったか、知りたいようだな」

「!」


男は即座に短剣を腰元より引き抜くと、声のした方へ向き直る。

そこにいたのは、壁にもたれかかる、無防備な男──レオン。

小柄な男は短剣を携え、突撃する、レオンの懐を狙って。

この距離なら外さない、逃れられない。防ぐことも、ままならないであろう。

鋭く細く、朝日に煌めく剣身が、軌跡を描き…


ガッ。


…不意に、消える。

レオンの前に、立ち塞がる、壁。

それはあの、扉程の大きさを持つ、剣。


「この剣は、普段はただの長剣。だがな、ある種の呪を唱える事により、外装…この分厚くて大きな剣身を呼び出すことができる、優れ物なんだ」

「ひっ…」

「さあ、むしろ知りたいのはこちらの方だ。この店は昨日、潰された」


まるで野菜を刻むかのように、めしりと、巨大剣は短剣を分割する。

軽々と剣を持ち上げ、短剣だったものの断片をはらはらと溢しながら、レオンは言った。


「あんたは何で、ここに来た?」


英雄の剣を、掲げながら。





+ + + + +


【小柄な男】…どうやらレオンの潰した店に何か関係があるらしい。異様に痩せているが、欲望にまみれてもいるようだ。

【ただの長剣】…そうはいえども、切味は抜群。外装を取りつける事で真価を発揮する。

【外装】…虚空から喚び出す召喚物のため、質量は見た目より遥かに少ない。巨大剣の剣身の部分。


進化する武器、みたいな。
『レオ・フラウダ・グレイズ』は、だから英雄の剣。
姿が変わる武器なんてないだろうし、なかなか。外装を召喚すると強力に、とか。
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by SSS-in-Black | 2007-01-14 00:57 | 【100 title】