小ネタ書き散らし用。


by SSS-in-Black

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【100-8】衰退

そこに、ある子供がいた。

何かに呼ばれたような気がして、目を、開く。


「あ、目覚めましたか…クレオ」

「!」

跳ね起きる。

目の前には、先程戦った男がいた。

そして何故か、彼は子供の名を知っていた。

子供は断言できる、この男は知らない人物だと。


『魔導人形』が絶対の権力を持つ、神国フィラータ。

遥かはるか昔から住んでいた人々は、スラム街へと追いやられた。

そして、そこに住む者は、余程の手段を使わぬ限り、出入りは出来ない。

戦うための手段がなくては──それこそ、『魔導人形』に等しいほどの力が。

実際に子供は、有り得るとは認識していても、国境を越えた者がいるとは、信じていなかった。

自分の父以外に。


「何者だ!」

「私は、メ…危ないっ!」


パン。

短い銃声が旅人の髪を僅かにさらう。

弾丸は立て続けに空気を引き裂いてゆく。

子供をかばいながら、旅人は杖を引き寄せた。

今まで姿を隠していた精霊と、狙撃手が現れたのは、ほぼ同時。

精霊は杖より力を回収し、拳銃へと形状を戻す。

狙撃手は拳銃を構え直し、狙撃対象を旅人へと変更する。


パン。


銃声が重なった。

それ以外、何一つ、音は無い。


血を流した者は、いなかった。

しかし、違う何かを、流していた。

それは。



精霊の力の破片、魔力、そのものを。

狙撃手は肩に穿たれた穴より、流していた。



花は枯れ 廃墟の街に 塵の風 今宵も月は 決して見えない





+ + + + +


【ある子供】…年齢は十歳ほど、旅人が『クレオ』と呼んだ真意は不明

【魔力】…いわば『魔導人形』の血液ともいわれる存在、魔導師より採取可能
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by SSS-in-Black | 2006-10-05 22:05 | 【100 title】

【100-7】年月

そこに、ある運命があった。

見えない糸に繋がれた小石は、ぶつかる定めにあるのだ。

そして美しく奇怪な、一筋の首飾りとなり、時の女神の姿を彩る。

それが運命なのだ。


緑湧く 暗闇の地に 糸は絡まる そして僕らは めぐり逢う小石


人の気配がした。

旅人は身構える。

取り出した拳銃に宿る、緑の光。

風の精霊はその力の一部を、武器に分け与えた。

途端に、それは変質してゆく──よりよい形状へと。

…最後に、銃身に埋め込まれた珠が、緋から翠へと色付いて。

銃は杖となっていた。


「…来る!」


精霊の鋭い一言に、旅人は杖の先端、かつて銃口だった部分を、敵に向ける。

意思と共に放つのは、淡き翡翠色、光の散弾。

一発の威力は、確かに増えているようだ。

しかし、接近戦に持ち込まれたら、この攻撃は使えない。

残る手段は、力任せに杖で殴るか、詠唱の手間がかかる魔法を使うか。

とにかく、距離があるうちに、出来るだけ体力を削いでおく。

それだけで、戦況は大きく変わるはずだ。

──さて、敵はといえば攻撃に耐えきれず、草木の中から姿を現す。

手には二本の煌めく刃を持ち、くるりすらりと光をかわす。

その姿に、旅人は、見覚えがあった。


金の髪、朱の瞳、炎の獣──紅蓮の闘気を纏う雌獅子。

『以前逢った彼女』は、もう、老いていた。

だが、『今の彼女』は、まだまだ幼い。


粗削りな刃の行く先を、旅人は、杖で弾いた。

無慈悲な冷たい音が、響く…──。





+ + + + +


【力の一部を、武器に分け与え】…フクがメイザスの武器(拳銃)に【風】の属性を付与したこと。精霊の数ある特殊技能のうちひとつ

【杖】…拳銃がフクの力により変化したもの、属性は【風】

【風】…属性のひとつ。動きが素早くなったり、一撃一撃が鋭くなったりする


RPGっぽい。
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by SSS-in-Black | 2006-10-02 00:03 | 【100 title】