小ネタ書き散らし用。


by SSS-in-Black

【100-4】世界

そこに、ある精霊がいた。


「成程…とにかくお前は、沢山のものを見てきたんだな」

「ええ。沢山の喜びも、沢山の悲しみも…様々な世界で、見てきました」

「…世界、か」


風が吹いて、懐かしい香りがたちこめる。

何の花だったか──ほら、黄色い、とても小さい花。

それでいて、強い香りを放つ花。


「どうだった、今まで」

「さあ…まず、旅をするようになった理由が不純ですからね」

「そうなのか? そんなにアレな理由なのか?」


何の花だったろうか。

すぐそばまで、答えは出ているのに。

忘れるわけはないだろう。

この香りは、あの時の。


「…私は、殺人者なんです」


一番大切な人を殺してしまった時。

生まれ育った世界で一番重い罪を犯した時。

あの、彼女と私しかいない部屋の、窓際に置いてあった花瓶。

そこに生けられた、花の名前。


「だから旅することになりました、様々な世界を」

「…時空を越える、のか?」

「はい」

「…」


思い出せず 思い出さずに 逃げ惑う 花の香に追われ 巡りゆく世界


「…」

「どうしましたか、フク?」

「…俺は精霊の中でも馬鹿な部類に入るからな、よくわからなくなったら眠くなる。だから、寝る」


夜空を見上げて、精霊は細い目を更に細める。

花の香りは目に見えないが、しかしそこに存在している。


「…フク、それよりフィフィはどこにいるんでしょう?」

「ああ、それなら」


あの花の下で眠っているよ。

あの香りに、包まれながら──夢の世界で、旅をしているよ。




+ + + + +

【世界】…ひとつではなく、沢山存在するもの。ある一部の人間しか行き来することは出来ない。

【一番大切な人】…彼の生まれ育った世界の、とある酒場の歌姫のこと。

【花】…『一番大切な人』が好きだった花。花言葉は『あなたは高潔です』。
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# by SSS-in-Black | 2006-08-27 09:52 | 【100 title】

【100-3】友達

そこに、ある仔猫がいた。


「友達、なのかしら」

「いや、相棒、ですよ」

「そう?」

「はい…友達、とは違いますからね」

「でも、相棒ってのも違うと思うわ」

「…そうかもしれませんね」

「だから、やっぱり友達…いや、『みたいなもの』よ」


ミルクを温めてやる。

それに砕いたクッキーを浮かべてやると、彼女は喜ぶ。

喜んでもらいたい、だって友達…みたいなものだから。


「明香…じゃない、メイザスの今の相棒は、フクでしょう?」

「まあ、そうなりますが」

「だったら私と貴方の関係は、何なのかしら」

「さあ…私は、難しいことが嫌いですからね」

「またそう言って、嘘吐き」


焚き火の薪がはぜる。

沈黙は、無い。

ただ、ミルクにうっすら膜がはってくる──そろそろ、頃合いだ。


「第一、フィフィ? 人と人との関係なんて、今更明かさなくていいと思いますよ」

「…そういうものかしら」

「ええ、貴方と私の関係なら、また尚更明かしてはなりませんよ」

「…何故?」

「さあ、何故でしょうね?」


友達と いえども明かせぬ 秘密ならば 時が来るまで 暫し待たれよ


「…食べ物ではぐらかすつもりかしら」

「まあ、『友達みたいなもの』に話せる事ではないので」

「…馬鹿」


そうして。

フィフィという名の仔猫は、温かなミルクにひたされたクッキーをかじった。




+ + + + +

【ある仔猫】…名前をキャシー・フィフィ。額と尾に宝石があり、カゲロウの羽が生えている『猫のような生物』。詳細は不明。

【フク】…名前をフクリクリフ。七本の尾をはやした狐で、現在の主はメイザス。風の精霊の眷属らしい。

【貴方と私の関係】…はるか昔からの繋がりがあるらしく、決して一言では語りきれない。同じく詳細は不明。


一応、しばらくはササミ漂流記。
フィフィとフクは、中一の頃に友人とやっていたネタからの引き継ぎです。懐かしい。
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# by SSS-in-Black | 2006-08-26 22:18 | 【100 title】

【100-2】家族

そこに、ある少年がいた。



「僕に家族はいないよ」

そう、言い切った。

「何故だい?」

「何故って、知らないの?」

凄く嫌な顔をされた。

まるで話したくないかのように。

「それより、なんであんたみたいなのがここにいるの? 国境付近だとはいえ…ここはあんたの来る場所じゃないよ」

とは言われても、仕方ないんだ。

だって私は地図を持っていない。

ここは一体、どこなんだ。

あいつは私を、どんな厄介な場所に飛ばしたんだ。

「ここは、僕みたいな『人にあらざる者』が暮らす国」

すりきれた赤い外套。

土にまみれた鋭い鉤爪。

汚れきった埃色の双翼。


「『亜人国リトナード』」


羽が数枚、風に拐われる。

あっという間に、地平線の彼方に消えていく。

「ここにいれば、僕は虐げられずに済む…そう、教えてもらったんだ。この国を治めるのも、この国に住むのも、みんな、人じゃないんだ…よその土地では、酷い扱いを受けていようと」

「…」

「わかったでしょ? 僕の両親は、僕を奉仕先から脱走させたんだよ。



そして見張りに殺されたんだ」



ダカラリョウシンハイナインダ。

ソノ命ト引キ替エニ、僕ニ自由ウヲクレタンダ。

だから、僕は。


「どうしたらいいんだろう」


玉響の 雫はそっと 喉を潤し やがて消えゆく 我を残して




+ + + + +

【ある少年】…後にバティスト・リュリと名乗ることになるハーピーの少年。

【ハーピー】…『人語を操るカナリヤ』。この世界では主に奴隷として『飼われる』、翼を持つ人々。

【私】…様々な世界を旅する『旅人』の一人。この世界では、メイザスと名乗っているようだ。

【あいつ】…恐らく『門番』ランパートの事。あまり言葉がよろしくない。

【亜人国リトナード】…この世界にある国の一つ。メイザスはこの国境付近に不時着したようだ。


語弊が多々ありそうな予感。
まあ、いいか(よくない)。

〔8/27 訂正〕
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# by SSS-in-Black | 2006-08-26 20:52 | 【100 title】

【100-0】お題一覧

自分 家族 友達 世界 故郷 四季 年月 衰退 繁栄 調和

太陽 満月 星空 雲母 飛行 正夢 悲鳴 願望 探求 表情

久遠 幻想 共鳴 運命 記憶 生死 神秘 英雄 約束 天使

悪魔 美貌 決戦 信念 旅人 船出 深海 天空 大地 業火

大樹 宝石 奇跡 冒険 怪奇 幸運 人形 狩人 兵士 人間

無知 邪悪 正義 王様 女帝 古代 未来 龍神 霧雨 快晴

落雷 吹雪 濃霧 夜空 騎士 白馬 予知 巫女 聖剣 弓矢

呪文 方陣 襲撃 戦争 平和 一瞬 歴史 階段 城跡 平原

山脈 遺跡 河川 神様 精霊 封印 理由 快楽 破滅 創造

天秤 大蛇 獅子 方角 洞窟 宝箱 双頭 明暗 真実 再生


投稿し忘れていたorz
一応ポリシーは『【100-1】自分』にも書いたとおり、

・冒頭は「そこに、『   』がいた」
・短歌もどきをいれる

と、なっております。
いきなり何が起こるか不明、不透明に進んでいきます。
ではーん。
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# by SSS-in-Black | 2006-08-26 18:08 | 【100 title】

【100-1】自分

そこに、ある男がいた。



黒い髪。

白い肌。

黒い瞳。

白い鍵。


男には母親がいた。

男には父親がいた。

男には故郷があった。


弟が生まれた。

小さな仔猫を飼いはじめた。


やがて男の母親が死んだ。

そして男の父親が死んだ。

さらに、故郷も、死んだ。


小さな自分と小さな弟。

仔猫と僅かな荷物を背負った。



流行り病に人々は嘆いた。

禍つ魔物に人々は泣いた。

何処に行ってもそうだった。

安息の地などまるで無かった。



やがて男は安らぎを得た。

傭兵として働きだした。


手には真っ白な銃を持ち、それは酒場の歌姫のもの。

姫は天外孤独なれども、その歌声は愛を奏でる。


それを聴くため、男は戦う。

強き魔物に立ち向かい、恐れることなく息の根を止め。

その度そのたび、血は生臭く。

深く不覚、白い肌に焼き付いていく。



それを楽しむ自分がいた。

──ああ、なんと愚かしいのだろう。



最後に私は姫を殺した。

最期に姫は詠っていた。


あけそらに いのるみらいの しあわせを てんまどにはなつ るりいろのとり



これは、とある罪人の戯言なり。




+ + + + +


百題その一。
一応信条としまして、

・「そこに、『   』がいた。」から始める
・出来る限り短歌をいれる

という条件を入れました、伊勢物語風(笑)。
ちなみに今回のものは漢字を当てますと、

明け空に 祈る未来の 幸せを 天窓に放つ 瑠璃色の鳥

と、なります。本文中が平仮名なのは理由があります。
ヒントは伊勢物語の『かきつばた』の短歌、ですよー。


ではまたー。
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# by SSS-in-Black | 2006-08-25 22:41 | 【100 title】

【SR】ダイヤモンド

お葬式なんて何度目でしょうか。

私の母の父は、私が生まれる前に亡くなりました。

しかし、父の両親、母の母は、今もとても元気です。

親戚も、皆、みんな元気です。

だからこれが、はじめてのお葬式。


着慣れた制服に身を包み、香の漂う秋空見上げて。

雲は刻々と姿を変える。

同じ瞬間は訪れない。

貴方は繰り返し言っていました。


形あるもの何時か消えゆく。

だからこそ世界は美しいのだ。

空が表情を変えていくように。


命も廻り、

そして、

消え逝く。


晴れわたる澄んだ蒼い空。

千切れ雲に重ねる白い花。

貴方の顔は安らかに、まるで眠っているようで。


そこに、一輪。


一輪の想いを乗せました。

私は貴方が、好きだったのでしょう。

だからこんなにも、辛いのでしょう。

最後の貴方が、ゆらゆら揺れて。


「好きでした」


その言葉だけ、そっと、呟いて。

これから焼かれる貴方と別れる。


燃やせばそれはなくなってしまう。

空に散らばるダイヤモンド。


それでもそれはなくならない。

想いを込めたダイヤモンド。

例え灰になろうとも──残された全てを、受け止めて。


+ + + + +


静火の過去が書きたかったというか。
…とにかく相手の名前を決めなくてはorz
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# by SSS-in-Black | 2006-08-24 22:55

【注意事項】

・単文、散文置き場です
・更新は気が向いた時になります
・分別も気が向いた時になります
・気の向くままにやってます

・タイトル先頭記号、
 【IF】→【無限のファンタジア】
 【SR】→【シルバーレイン】
 それぞれのネタになります
・キャラクターの設定等は、そのうち

・ではではー
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# by SSS-in-Black | 2006-08-24 22:33 | 【etc.】