【100-6】四季
2006年 09月 14日
そこに、ある森があった。
「寒い森ですね」
「近隣住民でも立ち寄らない森だ、ここは」
「…寂しい森ですね」
鬱蒼と。
陰鬱と。
森は暗く、そして深く。
「この森を抜けると、フィラータ、って国がある、けど、入ることは出来ない」
「…何故ですか?」
海路を行き、陸路を行き、様々な国を通過し、町や村を訪れた。
しかし、精霊がこのように断言したのは、これが初めてである。
行く先を拒絶するような発言は。
「あの国に四季は無い、寒いも暑いも無い、むしろ」
ひと呼吸置いて。
「心が存在しない」
「…?」
「あの国にいるのは、『魔導人形』と疲れ果てた民だけだ。だから行くな、無益以上に厄介だから」
ひと、ひと、ひと。
腐り始めた落ち葉や枝が、踏まれて悲しい悲鳴をあげる。
旅人はただ、歩み続ける。
「行くな」
それでも。
「いくな」
旅人は。
「イクナ」
歩き続ける。
「…」
意味のない 無駄な事だと 知りつつも 罪は誘う 止まることなく
+ + + + +
【ある森】…俗称『黒の森』、正式な名前は存在しない。昼も夜も無い、常闇の森である。
【フィラータ】…神国フィラータのこと。鎖国に近い状態にあるため、内部の詳細は不明。
【魔導人形】…魔力を糧に動く人形。フィラータにのみ存在する。
記憶があやふやだ、訂正あったらカモン。
「寒い森ですね」
「近隣住民でも立ち寄らない森だ、ここは」
「…寂しい森ですね」
鬱蒼と。
陰鬱と。
森は暗く、そして深く。
「この森を抜けると、フィラータ、って国がある、けど、入ることは出来ない」
「…何故ですか?」
海路を行き、陸路を行き、様々な国を通過し、町や村を訪れた。
しかし、精霊がこのように断言したのは、これが初めてである。
行く先を拒絶するような発言は。
「あの国に四季は無い、寒いも暑いも無い、むしろ」
ひと呼吸置いて。
「心が存在しない」
「…?」
「あの国にいるのは、『魔導人形』と疲れ果てた民だけだ。だから行くな、無益以上に厄介だから」
ひと、ひと、ひと。
腐り始めた落ち葉や枝が、踏まれて悲しい悲鳴をあげる。
旅人はただ、歩み続ける。
「行くな」
それでも。
「いくな」
旅人は。
「イクナ」
歩き続ける。
「…」
意味のない 無駄な事だと 知りつつも 罪は誘う 止まることなく
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【ある森】…俗称『黒の森』、正式な名前は存在しない。昼も夜も無い、常闇の森である。
【フィラータ】…神国フィラータのこと。鎖国に近い状態にあるため、内部の詳細は不明。
【魔導人形】…魔力を糧に動く人形。フィラータにのみ存在する。
記憶があやふやだ、訂正あったらカモン。
by SSS-in-Black
| 2006-09-14 23:57
| 【100 title】