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小ネタ書き散らし用。


by SSS-in-Black

【100-6】四季

そこに、ある森があった。


「寒い森ですね」

「近隣住民でも立ち寄らない森だ、ここは」

「…寂しい森ですね」


鬱蒼と。

陰鬱と。

森は暗く、そして深く。


「この森を抜けると、フィラータ、って国がある、けど、入ることは出来ない」

「…何故ですか?」


海路を行き、陸路を行き、様々な国を通過し、町や村を訪れた。

しかし、精霊がこのように断言したのは、これが初めてである。

行く先を拒絶するような発言は。


「あの国に四季は無い、寒いも暑いも無い、むしろ」


ひと呼吸置いて。


「心が存在しない」

「…?」

「あの国にいるのは、『魔導人形』と疲れ果てた民だけだ。だから行くな、無益以上に厄介だから」


ひと、ひと、ひと。

腐り始めた落ち葉や枝が、踏まれて悲しい悲鳴をあげる。

旅人はただ、歩み続ける。


「行くな」


それでも。


「いくな」


旅人は。


「イクナ」


歩き続ける。


「…」


意味のない 無駄な事だと 知りつつも 罪は誘う 止まることなく




+ + + + +


【ある森】…俗称『黒の森』、正式な名前は存在しない。昼も夜も無い、常闇の森である。

【フィラータ】…神国フィラータのこと。鎖国に近い状態にあるため、内部の詳細は不明。

【魔導人形】…魔力を糧に動く人形。フィラータにのみ存在する。


記憶があやふやだ、訂正あったらカモン。
by SSS-in-Black | 2006-09-14 23:57 | 【100 title】